電子署名

電子契約導入後の運用

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電子契約導入後の運用

電子署名の長期保存

電子署名は、電子証明書の有効期間内に行われたものだけが有効です。電子証明書の有効期間の後に、その電子証明が正当に行われたことを示すために、電子署名と併せて、電子証明書や、電子証明書の有効性確認情報などをまとめて記録し、タイムスタンプを付けて保存する方法があります。この方法は長期署名と呼ばれ、ISOやJISの標準となっています。訴訟に備えて長期署名による保存をすることは重要ですが、保存は容易ではありません。長期保存を行っているサービスを利用することをおすすめします。

訴訟の際の事業者協力

当事者電子署名方式では、電位証明書発行に関しての情報を発行機関から得る必要が生じる可能性があります。立会人電子署名方式では、正しい運営が行われている事、本人がログインしたこと、本人の締結意思に基づいて電子契約書が提出されたこと、これらについて立会人たるシステムが確認しシステムの電子署名がなされたことなどを、立会人電子署名方式を行っているシステムの運営事業者に証明してもらう必要があります。そのため、電子契約を利用する場合は訴訟時の証明について、事業者がどこまできょうりょくしてくれるのかを確認しておく必要があります。

当事者電子署名方式立会人電子署名方式
電子署名を行う者契約の当事者双方電子契約システム(立会人としての位置づけ)
利用登録時の本人確認厳格な本人確認をするものが多い比較的簡易な本人確認を行う者が多い
電子署名法3条の推定効真正な成立の推定が得られる真正な成立の推定は得られない
メリット本人の特定や、本人意思の証明が容易利用開始時の手間が少ない
デメリット利用開始時の手間がやや多い本人の特定や本人意思の証明が容易でないことがある
用途重要な契約書(契約の成立や相手方の特定が出来ない場合のリスクが大きいよう用途に向いている)やや重要性の低い契約書(重要なものを扱う場合には、本人確認などが厳格なサービスを利用する必要がある)
電子契約の方式比較

電子契約サービスとサービス利用の終了

電子契約に関するサービスの利用をやめて他のサービスに移る場合や、サービスの運営主体がサービスを終了する場合については、将来の訴訟に備えた情報管理が必要になります。サービスの利用を終了する場合は、その後も事業者の協力が得られるのか、得られないとしたらどのような情報を受け取っておく必要があるのかを検討しなければなりません。

事業者側でサービスが終了する場合は、その後に必要となる情報を一括して利用者に提供することが多いようです。しかし、訴訟における証人としての出廷などは制約が大きくなると考えられます。サービス終了の際は、その後のサポートの内容について十分に確認をしておく必要があります。

トラストサービスについて

電子認証局のように、サービス事業者が安全な運用を行い、その信頼の下で証明書発行などの機能を行うサービスはトラストサービスと呼ばれています。EUでは、eIDAS規則と呼ばれる規則を制定し、トラストサービス全体の規律を決めています。日本では、電子署名法の法令はあるものの、大部分のトラストサービスは法令の裏付けがありません。

総務省は2020年、トラストサービス検討ワーキンググループにて、タイムスタンプ、リモート署名、eシールなどの在り方を検討し、制度化の道筋を示しました。今後、様々な機能のトラストサービスが容易に利用できるようになり、日本の電子契約や電子取引が大きく発展することが期待されています。

インボイス制度について

2023年10月から、消費税に関するいわゆるインボイス制度が導入されます。これは、消費税の支払いにあたって、支払先が消費税納入業者であることを確認する制度です。このため、請求書や領収書などには発行者が適格請求書発行事業者登録番号を記載し、これを受領者が確認します。有効な適格請求書発行事業者登録番号であることを人が確認するのは大変なので、システムによる確認が必要です。

そのために請求書などの電子化が強く望まれます。こうした背景から、これから数年で請求書などの電子化が急速に進むと予想され、電子契約の普及も大きく進展すると思われます。

参考文献:ビジネスガイド 2020

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